耳のしこりの検査結果を聞きに行く予定の日より前に病院に来るよう言われた僕は、納得のできる病院に紹介してもらうため、唾液腺がんであるという想定で、紹介希望の病院まで決めて診察に臨みました。
がん告知
医師から、細胞を採取した結果悪性の腫瘍であった旨を告げられ、手術が必要になると思われるため、すぐに入院の手続きをするよう勧められました。
わたしは一言『がんでしょうか?』と聞きました。
『そうです。』
よくあるドラマなどでは、ここでショックを受けて真っ白になるのでしょうが、これは完全に想定内でした。
僕の関心はそこにはありませんでした。
僕の関心は、告知された途端に入院を断り紹介状を依頼するという、恐らくあまりないパターンに対して、医師が快く紹介状を書いてくれるのか?の一点でした。
医師は少し戸惑っていたようだったが、問題なく紹介状を引き受けてくれました。
ここに至るまで、奥さんも特に大きな動揺も見せず、涙を流すようなこともありませんでした。
ここまで特に落ち込むこともなく、仕事をこなすように淡々と進めている僕を見て、本人がしっかりしているのに自分が動揺して不安にさせてはいけないという思いがあったと、後に話してくれました。
ただ、両親は落胆していました。
それはそうです。。
恐らく初期であろうとの医師の話を伝え、まずは紹介された病院に行こうと話をしました。
まずはそれからです。
転院、そして…
希望している病院への紹介状ももらいました。
行き先は僕の住んでいる県ではトップの実績がある病院です。
そこではまずは検査を実施しました。
実施した検査は以下の通りです。
・血液検査
・X線
・CT
・シンチグラフィ
この時からもう何回CTを受けたでしょうか?
恐らく同世代で僕以上にCTを行った人を探すのはかなり困難でしょう。
やはり病名は唾液腺がんでした。
治療方針は基本手術一択で、放射線と化学療法は効果がないとされています。
手術による合併症で最も影響があるのは顔面神経麻痺です。
唾液腺には顔面神経が走っているため、手術により顔面神経が損傷し、顔面神経麻痺を起こす可能性があります。
検査の結果、転移も見当たらず初期であるため手術で完治する可能性が高く、顔面神経麻痺になる可能性も低いと考えられるとのことでした。
僕はそれまでの人生では、ついていない状況でもちょっとしたラッキーに救われてきた気がします。
若くしてがんになることはついていなかったかもしれないが、早期で発見されて完治する流れになったような気がしました。
いよいよ後は手術です。
ところが、またしても僕は病院を変えることになります。
それは友人の『ほんとにそこでいいのか?』という一言がきっかけでした。
続く。