がん闘病記

末期がん患者と家族が観た「風立ちぬ」死(別れ)の覚悟の涙

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僕は唾液腺がんが肺に転移し、がんのかかりつけの病院で治療不能、末期がん宣告を受けました。

それでも奇跡的な完治を目指して他院で転移性肺がんのラジオ波焼灼療法を実施するも、今度はその病院で脊椎に転移が見つかりました。

ラジオ波焼灼療法は全てのがんを取り除けなければよくなることはないので継続しても意味がなくなります。

がんのかかりつけの病院に提案された脊椎の治療法が完治目的でなかったため、奇跡的完治のための治療法を調べ、腫瘍脊椎骨全摘術(TES)という治療法にたどり着き、手術を終えました。

腫瘍脊椎骨全摘術から約3ヶ月後、宮崎駿監督の「風立ちぬ」を鑑賞

腫瘍脊椎骨全摘術から約3ヶ月後、この日僕は奥さんと映画を観てきました。

観てきた映画は宮崎駿監督の「風立ちぬ」。

まだ北斗の拳のザコなうよな装具をつけた状態での外出です…

直接的なネタバレはないですが、ある種ネタバレの様な内容が含まれているのでご注意を。

過大な期待もせずフラットな気持ちでしたが、ラストで主題歌「ひこうき雲」がかかった時から、上映終了後に照明が灯っても涙が止まらなくなってしまいました。

奥さんも泣いていました。

末期がん患者の僕と奥さんが涙した理由、希望を持ちながらも死(別れ)を覚悟

その後食事に行き、映画の感想を話しましたが、二人とも何故涙したのかは一切話しませんでした。

奥さんもきっと、そのことは話したくなかったんだと思いました。

僕は唾液腺がんというがんがみつかり手術をしました。

2回再発し、2回目の再発時にはリンパ節への転移が見つかり、耳の骨と顔面神経とリンパ節も含めて切除をし、左顔面はまともに動かない状態になりました。

その後肺と脊椎への転移が見つかりました。

がんは転移していなければ、それほど怖い病気ではないですが、転移してしまうと血流にのって全身に転移してしまいます。

がんが転移した場合は検査で発見できなければ転移していないという考え方はなく、検査で発見できなくても目に見えないレベルで体中に転移していると考えられるので、手術や放射線の様な局所療法は意味がなく、転移したらまずは抗がん剤などの全身治療が選択されます。

ですが、俺のがんは悪性度が低く進行が遅い代わりに、抗がん剤が効きません。

そのため、転移が見つかった際、通院していたがんのかかりつけの病院からは治療不能との判断が下されました。

それでも、原発巣に再発がなかったので、諦めずにできる限りのことをしようと思い、自然治癒力と免疫力を上げるために生活を変え、治療法を探しました。

僕は、それでも平均寿命まで生きることは諦めず、生命力を信じ、できることをやるつもりですが、諦めることとは別に、末期がんである以上、あと数年内に死ぬ可能性が高いことも理解しています。

奥さんも、心のどこかにその思いがあり、それでも二人とも可能性を信じ、今を生きています。

奥さんにはまだ話していませんが、先月から再発を示す痛みが続いています。

原発巣については、これまで最大限の範囲で切除を行っています。

再発したら、もう治すための手術はできないでしょう。

末期がん治療において、先進医療や自費治療であっても、認識されている病巣の一部のみに治療を行うことはおそらくないでしょう。

治療を断念しなければならない時がいつか来る。

別れの時が来る。

そんな思いが、前だけを見ているようでいて、僕ら夫婦の中にあるんだと思います。

今回の「風立ちぬ」、そんな境遇にない人が観たら、果たして泣ける映画であるのか?は分かりません。

周りを観ても、泣いている人はあまりいませんでした。

大きな盛り上がりを求めた人にとっては物足りない映画と感じるかもしれません。

でも、僕はラストで溢れる涙をこらえることができませんでした。。

がんになってから、そのことで泣いたことはありませんでしたし、ドラマも含め、こんなに泣いたのは本当に久しぶりでした。。

そんな映画でした。

続く。

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